近所の図書館で借りれたので何となく読んでみました。
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序盤は本屋での本の選び方などが書かれていて自分のコンテキストにあまり合っていないように感じたので、いきなり読むのやめようかと思いましたが、そのまま一旦読み進めてみると、共感できる部分も多く、結果としては読んで良かったと思えました。人それぞれ、読書の仕方は違うと思いますし、各自でいろいろな工夫をしていると思いますが、この本には、これまで私が自分なりに工夫してきた要素も含まれており(共感)、その手もあったかと気付かされる点もありました(発見)。
本書を読んでみて印象に残った点を中心に以下に書き留めておきます。(返却前メモ)
印象に残った点
印象に残ったフレーズや共感できた点などを以下にメモしておきます。
第1部 選び方
1-1 あらゆる手段で本を見つける!書店の歩き方からITツールの活用法まで
▶ 図書館の活用 ~貴庁な本に出会う~
新しい技術が登場する中での図書館の価値とは
技術の歴史を知ることができる
【Page:52】
"メインフレーム ←ダム端末での操作"
「ダム端末」とは「馬鹿な端末」の意味であり、頭を使う処理はホストコンピュータ(メインフレーム、ミッドレンジコンピュータ、ミニコンピュータなど)が行い、端末側は「自分では考えない」(頭脳が無い、処理をしない)ことに由来する。
ダム端末 - Wikipedia
期限があるから積読になりにくい
"図書館を使う別のタイプのメリットとして個人的に感じるのは、「期限」の重要性です。夏休みの宿題ではありませんが、期限が決められていないとダラダラと過ごしてしまい、最後に焦ってしまう人は少なくありません。
本でも同じで、…(後略)"
column 図書館の探し方
【Page:54】
"図書館を検索できる便利なサービスとして「カーリル」があります(図1-1-13)。カーリルでは蔵書の貸出状況を検索できるだけでなく、現在のいち情報から近くの図書館を探すこともできます。APIも提供されているため、自分で作ったプログラムに蔵書検索などの機能を取り入れることもできます。"
カーリル | 日本最大の図書館蔵書検索サイト | カーリル
1-2 世界が広がる!貪欲に本を求めれば、出会うはずがない本にも出会える
▶ 悪書・良書を気にする必要はない
良書を選び続けるのは不可能
①一般に悪書・良書といわれている本が、あたなにとってもそうとは限らない
②悪書との出会いを避けられない
【Page:60-61】
"(前略)最も避けるべきことは読書そのものを止めてしまうことです。悪書を否定する暇はありません。いくら否定しても悪書はなくなりませんし、立場によって考え方が違うのです。そういったノイズを気にせずに読書を続け、本とうまく付き合うようにしてください。"
▶ レベル感の合った本を選ぶ
マッチ度の見極めは大切だが、柔軟にとらえよう
【Page:62】
"(前略)技術の習得という観点でいえば、自分のスキルから見て少しむずかしい本であれば効果的に学習できます。たとえば「半分くらいは知らないが、読めばなんとかなりそう」、「2割ぐらいはすごく難しそう」といった印象を受ければ、ちょうどよいレベルといえるでしょう。"
▶ 英語の技術書という選択肢
英語の技術書を入手するには
②海外出版社の直販やサブスクを活用する
【Page:74】
"(前略)Packt(https://www.packtpub.com/)は技術書専門の出版社です。"
第2部 読み方
2-1 比べて、使い分ける。時間を無駄にせず理解を深める
▶ 「『3』の発想」 ~1つのテーマで3冊の本を読む~
発想や技術を連鎖させる工夫
入門書、専門書、逆引きの3通り読む
【Page:84】
"本に限らず、いろいろな場面で使える方法として「3」という数字を使って考える方法があります。『「3」の発想』(芳沢光雄著)という本があり、「物事がドミノ倒し現象のようにつながっていく性質を理解するには、『2』の発想ではなく『3』の発想が大切」だと書かれています。そして具体的に、次のような例が挙げられています。
「2」の発想の場合、積み木でいえば、Aが倒れかかってくればBも倒れてしまう。接し合う歯車でいえば、Aが回ればBも回る、ということである。Aの運動が、Bに影響する。2つの関係だから、その先に思考が及ぶことはない。AとBの完結した世界である。
一方、「3」の発想を考えてみると、積み木でいえば、3つ存在することである。まず、Aが倒れかかってくればBも倒れる。Bが倒れれば、次にあるCも倒れてしまう。ドミノ倒しの最小、「A→B→C」の連鎖である。「A→B」となり、「B→C」となれば、多分「C→D」と人は考える。完結しない世界、連鎖する世界、である。
つまり、2つではその間の関係しか見えないけれど、3つ考えればそこから先に発想が広がっていくのです。これは本を読むときにも同じことがいえると考えられます。"
▶ 読書にかける時間 ~本の価値を時給換算する~
サンクコストの考え方を取り入れる(それを読むのは「いま」なのか?)
合わない本に時間をかけてもしかたがない
【Page:100】
"本を買うと、必ず最後まで読まないと気が済まない、という人がいます。これは著者としては非常にありがたいことではありますが、本のすべての内容がその人の役に立つことはほとんどありえません。本の中のほんの一部であっても、それが役に立てば十分なことも多いです。
私の場合、少し読んでみて合わない本は「いまの私には合わなかった」と考えてざっと流し読みしてしまいます。このときに考えているのは「サンクコスト」の考え方です。サンクコストは「埋没費用」と訳され、すでに発生して取り消しできない費用のことで、これに引っ張られて合理的な判断ができないという文脈で使われる言葉です。"
本同じ本を何度も読む
1度目はざっと流し読みをする
2度目は手を動かしながら読む
3度目はノートにまとめながら読む
▶ 数学書の読み方 ~文系・理系それぞれのアプローチ~
理系である程度数学を知っている人が学ぶとき
パラシュート勉強法を使う
【Page:122】
"(前略)パラシュート勉強法は、必要になったときに、必要になった分だけを学ぶ本法で、『「超」整理法』の野口悠紀雄氏が提唱する方法です(図2-1-10)
たとえると、「山の頂上に立ちたい」と思ったとき、登山のグッズを揃えて、事前に綿密な計画を立てて準備をし、一歩一歩登ることも大切ですが、そもそも登山をする必要があるのかを考えるのです。飛行機に乗って、途中で飛び降りてパラシュートで山の頂上に立つ、というのでも目的は達しています。"
▶ 積読のか手法 ~優先順位を設定する~
同時並行で読む or 1冊ずつ片づける?
積読は解消しない
【Page:127-129】
"(前略)結論からいうと、積読は解消しません。(中略)本が増え続けないようにするためには、本を周りに置いておくだけではなく、読まなくてはいけません。このとき、「同時並行で読む本」と「1冊ずつ片づける本」に分けることができる(後略)。"
同時並行で読む本
"(後略)多くの本がこちらに分類されます(後略)"
1冊ずつ片づける本
"(後略)代表的なものが雑誌で、手に入れた日に全部目を通してしまいます。雑誌はとにかく鮮度が重要だと思っているので、できる限り早く読みたいのです。(中略)そのほかには、友人に紹介された本もこの分類に入ります。「この本いいよ」と紹介された本は、ほかの本よりもできるだけ早く読むようにしています。その理由は、感想を返すためです。(後略)"
2-2 ルール無用。精読、多読、乱読し、読書の枠を超えてゆけ
▶ 読書にルールなし
目的を達成できれば読み方はなんでもいい
長期間を経た再読について
①過去にレベルが高いと感じた本を再読する
②過去に学び終えた本を再読する
③過去に学び終えた本を再読する
【Page:134-136】
▶ 読書の枠を超えて学習を加速する
従来の読書の枠から外れてみよう
場所を問わない
エスカレーターで読書する
食事中に読書する
旅行中に読書する
ジャンルを問わない
媒体を問わない
【Page:137-141】
▶ マーキング読書法で脳に刻み込む
具体的な印のつけ方
【Page:154】
"
ページの角を折る:角を折り曲げることによってしおり代わりにすることをドッグイア(角折れ)という。主にページをマークする目的に使える。
"
▶ 電子書籍のメモやノートを取る
Kindleにおけるメモ
【Page:171】
"Kindle本はリフロー形式と固定レイアウト形式の2種類があります。リフロー形式はテキストのまま管理する方式、固定レイアウト形式はページを1枚の画像のように管理する方式です(図2-2-15、図2-2-16)。前者は小説、後者は写真集や雑誌をイメージするとわかりやすいでしょう。
それぞれの形式によって、Kindleアプリでのメモ機能を使い分ける必要があります。"
第3部 情報発信&共有
3-1 成長のチャンスはアウトプットにあり
▶ アウトプットは最大の成長 ~講演や勉強会でスキルアップ~
間違いに気づくためにアウトプットは不可欠
【Page:224】
ブログに書く
【Page:227-229】
"勉強会などで発表するのは少しハードルが高い、という場合には、ブログという手もあります。ブログに書くことも発表資料を作成するのと同じように、頭を整理できるメリットがあります。ブログは「記録として残る」という特徴もあります。後から見直したときに恥ずかしい部分もありますが、いつ、どのようなことを自分が考えていたのかを振り返ることができます。
ブログを書くにはインプットが足りない、と思っている人がいます。「もうちょっと勉強しないと書けない」、「文章の書き方も勉強しよう」と思っていると、いつまで経っても書けません。学ぶべきことはいつもたくさんあり、文章は書かないとうまくなりません。
つまり、図3-1-1の左側のループから、右側のループに変える必要があるのです。多くの人にとって、そのきっかけの1つが「とりあえずアウトプットする」ことです。

「もうちょっと勉強しよう」ということろが「とりあえずアウトプットする」に変わっただけですが、そうすると不足している部分や、学んでおきたいことがはっきりします。わからないことそのものもアウトプットすることで、他の人からフィードバックをもらえます。アウトプットすることで、自分にわかっていない部分があるのを他人に気づいてもらえるのです。こうなると、図3-1-1-2のようなループが回り始めます。

ここで大事なのは、アウトプットばかりにならないことです。自分が知っている知識、これまでに学んできたことには限りがあるので、アウトプットを続けていると出せるものがなくなってきます。インプットが枯渇すると、成長が止まってしまうのです。
これを防ぐためには、外部との接触の機会を増やすことが有効で、勉強会などはそのいい機会だといえます。インプットとアウトプットの時間や内容について、常にバランスを意識するよう心がけましょう(自戒も込めて)。"
▶ 発信するテーマの選び方 ~「自分ならこうする」を発信する~
人によって違うのはいいこと
3日後の自分は他人
【Page:230】
"プログラミングでは「3日後の自分は他人」という考え方があります。"
3-2 アウトプットも「遅すぎる」ことはない
▶ たくさんアウトプットしよう
文章を上達させるための「三多」
【Page:246】
"(前略)「三多」とは中国の欧陽脩(おうようしゅう)という歴史学者が提唱した、文章を上達させるための3つの条件です。
①「看多(かんた)」:多くの本を読むこと
②「做多(さた)」:多くの分を作ること
③「商量多(しょうりょうた)」:多く工夫して推敲すること
を指します。
①はインプット、②と③はアウトプットに対応します。簡単に述べれば、上達したければたくさんのインプットとアウトプットが必要ということです。三多の中では③が最も軽視されがちですが、これがうまくいかないと「インプット→アウトプット→改善」のサイクルが完成しません。常に③を意識しておき、①に活かしてください。"
アウトプットの結果をきにしない
アウトプットに遅いということはない
【Page:246-248】
▶ いつでもどこでもアウトプット
アイデアが浮かぶ場面「三上」と「4B」
【Page:249】
"(前略)欧陽脩の三多という言葉を紹介しましたが、彼は三上(さんじょう)という言葉も残しています。三上は文章を考えるのに都合のよい3つの場面のことであり、
①「馬上(ばじょう)」:馬に乗った移動中
②「枕上(ちんじょう)」:布団で寝ているとき
③「厠上(しじょう)」:トイレの中
を指します。
現代では「創造性の4B」という言葉があります。4Bはアイデアが生まれる4つの場所や場面のことであり、
① Bathroom:風呂場
② Bus:移動中
③ Bed:寝室
④ Bar:ほろ酔い中
を指します。
よいアイデアであっても忘れてしまっては意味がありません。対策として、いつでもどこでもメモするしくみを確率化しておくことが重要な課題になります。"
▶ レビューの有効性
レビューもアウトプットの1つ
【Page:255】
"(前略)たとえば、ネット上でレビューを投稿したり、家族や友人に口頭で本を紹介したりするのも立派なアウトプットの1つです。"
(最後に)気になったこと
ひとつだけ気になったのが書籍のタイトルの「技術書」という表現でした。自分も含めてIT系に関わりがある人にとっては「技術書」といえばコンピュータ書のことだと(技術書典、技術書博なんてのもありますし)すぐに察しがつくと思うのですが、そうでないコンテキストの人がタイトルの「技術書」という表現を見て、どう受け取るんだろうか?🤔…と。実際に本を読めば分かる話ではありますが、看板に偽りなし、という観点において紛らわしくないのだろうかと思いました。