機雷がなんだ! 全速前進!

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【再掲・2019年】偉人たちの足跡を辿って - シリコンバレー訪問レポート

※本記事は 2019年12月に私が執筆 したレポートを、内容を変えずに再公開したものです。
 別サイトに掲載していましたが閉鎖され閲覧できなくなったためこちらに再掲載しました。

 

ラスベガスで開催されるre:Invent 2019開催前日の12月1日(日)の朝、我々はサンフランシスコ国際空港に降り立ちました。目的はシリコンバレーを訪れるためです。昨年re:Invent 2018へ参加したメンバーは「Amazonのパワーをもっともっと感じようではないか!」という理由からAmazon本拠地であるシアトルを訪れましたが、今年は米国ITベンチャー発祥の地であるシリコンバレーを見て気持ちを高めてからラスベガスで開催されるre:Invent 2019へ行くことにしました。

 

コンピュータ歴史博物館

最初に訪れたのがこちらコンピュータ歴史博物館です。米国だけでなく全世界のコンピュータの歴史を代表する品々がここに展示されています。
 

(コンピュータ歴史博物館のエントランス)

 
館内に展示されている古今東西のコンピュータに関する展示物それぞれを解説すると、それだけで何百枚もの写真と原稿になってしまうので、ここでは私が見て感動した2つのものについて少しだけ解説するにとどめたいと思います。
 
(暗号化装置エニグマ)
 
まずは、かつてドイツ軍で使用されていた解読不可能と言われた暗号化装置エニグマです。映画「イミテーション・ゲーム」や「U-571」、古くは「U・ボート」などに登場する、歴史的に有名な暗号化装置です。名前だけでもご存知の方は多いのではないでしょうか?映画はフィクションも含まれていますが、このエニグマを巡ってかつて様々な戦いやドラマが繰り広げられたのです。天才数学者アラン・チューリングらが暗号解読機ボンベ(bombe)を開発して、暗号を解読できるようになって戦局は大きく変わっていきました。これを目の前にするとかつての天才たちがしのぎを削った歴史を感じずにはいられません。
 
(The Mythical Man-month:人月の神話)
 
そしてこちらはフレデリック・ブルックスの著書「人月の神話(The Mythical Man-month)」です。最初の刊行が1975年なのですが、当時のものでしょうか。初版から既に44数年が経っているにも関わらず、この本は今でも尚、大規模開発プロジェクトにおけるソフトウェア工学の古典として読み継がれている名著です。本の横に書かれているのは、あの有名な『ブルックスの法則』で「遅れているソフトウェアプロジェクトへの要員追加は、さらにプロジェクトを遅らせるだけだ(Adding manpower to a late software project makes it later.)」です。日進月歩のコンピュータ業界において、40年を経ても名著として読み続けれているというの本当に驚きですが、逆に考えると、テクノロジーが進化しても大規模プロジェクトにおいて我々が直面する課題の本質というのはあまり変わっていないのかもしれません。改めてこの教訓を胸に刻んでおきたいと思いました。
 

グーグルプレックス

コンピュータ歴史博物館から徒歩で行ける距離にグーグルプレックス(Googleplex)があります。グーグルプレックスはGoogle本社の愛称です。その道すがら工事中の巨大なスタジアムのような建造物を見ましたが、2019年完成予定だった新社屋「Google Campus Charleston East」のようです。完成が遅れているのでしょうか。完成すると新たに2700人を収容できる巨大でモダンな新オフィスになるそうです。
 
(グーグルプレックス:Google本社)
 
いよいよ到着したGoogle本社です。この日が日曜日だったせいか、人も車もほとんどおらず閑散としていました。会社というより有名私立大学のキャンパスといった印象です。敷地内のあちこちにベンチやリクライニングチェアが設置してありました。この日は生憎の雨模様だったので座りませんでしたが、天気が良ければPCを抱えて外で気持ちよくcodingできそうな雰囲気です。
 
(グーグルプレックスのT-Rex化石標本)
 
何故か敷地内に恐竜の化石標本が展示されていました。この恐竜の名前はスタン(Stan)と言うらしいです。創業者達が近くのスタンフォード大学出身だからなのか、巨体故に環境に適応できずに絶滅してしまったことを反面教師にするためなのか真相は不明のようです。Google社の名前の由来がgoogol(10の100乗)に由来する、というのと同じくらい謎めいていますね。

 

(グーグルプレックスのドロイド君Pie)
 
Google社は2005年にAndroid社を買収した訳ですが、以来Androidのバージョンにはスイーツな開発コードネームが付けられてきました。写真のPieはAndroid 9.0のものです。現在最新のAndroidのバージョンはAndroid 10.0ですが、何故まだ古いバージョンのドロイド君が展示されたままなのか?というと実は悲しいかなAndroid 10.0からはGoogleは開発コードネームを廃止してしまったのです。それ故まだ旧バージョンのドロイド君が展示されたままなのだと思うのですが、彼がいつまで美味しそうなPieに囲まれたままで居られるのかは分かりません。この写真を撮影したのは2019年12月1日ですが、もしかしたらとても貴重な写真になるかもしれませんね。
 

カルトレイン(Caltrain)

我々が宿泊したホテルの最寄駅はサン・アントニオ駅なのですが、鉄道(Caltrain)に乗って3駅先がパロアルト駅です。せっかくシリコンバレーに来たので、地元の鉄道に乗車してパロアルトまで移動してみることにしました。
 
(Caltrainの乗車チケット自動販売機)
 
Caltrainの駅には改札もゲートも何もありません。ホームに乗車チケットを販売している自動販売機がありました。ですが、買い方が全然分かりません(汗)日本では出発~到着駅で値段が決まるので駅名が分かっていれば乗車チケットが買えますし、駅員さんに聞いてチケットを購入することもできます。ですが、ホームには駅員さんも居らず、自動販売機はゾーン(?)を指定してチケットを買うという謎仕様で、ゾーンの概念が分かってないと迂闊に手を出せません。ググってみたところ、スマホアプリでもチケットが買えるということが分かったのですぐにGoogle Playからダウンロードしてインストールしました。

 

(Caltrainのスマホアプリ)
 
このアプリを使えば、駅名をFROM-TOで入力するだけで簡単に乗車チケットが購入できます。支払いもGoogle Payなのでキャッシュレスで簡単です。もしCaltrainに乗車するならスマホアプリで購入することをオススメします。注意点としては、土日だったこともあってかこの鉄道1時間に1本くらいしか走っていないので、うっかり1本乗り逃すと次までかなり待たされることになるので気をつけましょう。

 

(Caltrainの車両)
 
Caltrainは全線が非電化で動力はディーゼル機関のようです。架線がないため景観はなかなか良いです。各駅停車の客車列車は2階建ての立派な車両でなんと日本車輌製だそうです。せっかくなのでこの客車列車の2階の座席に座って景色を眺めながら移動しました。また、Caltrainは自転車で通学、通勤する人も多いためか客車列車の他に自転車や大きい荷物を格納する車両もありました。駅のホームの中まで自転車で移動してきて、そのまま列車内に持ち込んでる人もいました。なかなか日本では味わえない感覚です。うーん、ダイナミック。こういうの好きです。 

 

(Caltrainパロアルト駅)
 

パロアルト周辺

いよいよパロアルト駅に到着しました。パロアルト駅はすぐ隣のスタンフォード駅と1km程と近くてすぐに歩ける距離です。スタンフォード大学は全米きっての名門大学であり、シリコンバレーで生まれた多くのスタートアップ企業の創始者達の母校でもあります。名前を出せばキリがないですが、あのGoogle、Hewlett-Packard、Yahoo、Sun Microsystems、Cisco、Netflixなどの名だたる企業を世に送り出した名門中の名門大学なのです。
 

(Hewlett-Packardガレージ)

 
パロアルト駅から15分程歩いた住宅街の一角に「Hewlett-Packardガレージ」があります。ここは今からおよそ80年前の1938年にHP(Hewlett-Packard)の創始者であるウィリアム・ヒューレットとデビッド・パッカードがこの場所を拠点にして創業したという場所で、言わばシリコンバレーの歴史が始まった発祥の地と言える場所です。ようやく辿り着いた時にはすっかり日も暮れ夜になっていたのでHPガレージに続く門は閉められてしまっていましたが、夜でも記念碑とガレージはライトアップされていて何とか見ることができました。わざわざ歩いて来た甲斐がありました。
 
(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)
 
パロアルトからホテルへ帰る途中にトヨタ・リサーチ・インスティテュート(Toyota Research Institute, Inc.、略称:TRI)がありました。人工知能技術に関する先端研究、商品企画を目的として、2016年にトヨタ自動車により設立された研究所で、最近では自動運転のテレビCMでも時々見かけますね。日本を代表するモノづくりメーカー企業も、今後の生き残りを賭けて、米国の大学(MITやスタンフォード)と連携して最先端の研究開発を行っており、その拠点をシリコンバレーに置いているようです。

 

(Adobe Creek:アドビ川)
 
翌日12月2日(月)の朝、宿泊したホテルの周りを散歩していたら「Adobe Creek」の表示を見つけました。「Adobe」の名前が気になったので調べてみたところ、なんとあのPhotoshopやIllustratorで有名なAdobe Systemsの社名の由来となった「Adobe川」でした。創業者ジョン・E・ワーノック(John・E・Warnock)の自宅の裏をこの川が流れていたことから社名がAdobe Systemsになったんだとか。少しウロつくだけで、こういう面白いエピソードに出会えるからシリコンバレーは本当に面白いですね。
 
(アルタ・メサ記念公園:ジョブズのお墓)
 
Adobe川を遡って歩いて行くとアルタ・メサ記念公園があります。ここにはApple社の共同設立者スティーブ・ジョブズの遺体が埋葬されています。不思議なことに彼の墓石はどこにもありませんでした。その理由は分かりませんが、墓石で場所が分かってしまうと彼の墓を荒らす不届きな輩が居るかもしれませんので、むしろ良かったのかもしれません。ホテルからこのアルタ・メサ記念公園へ向かう道中は、平日(月曜日)の朝の通勤時間帯ということもあり、前日と比べて交通量も人も多くて賑わいがありましたが、この門を通り抜けた先は不思議な静寂に包まれていました。公園内の木々にはたくさんのリス達が居て、敷地内を走り回っていました。安らかに眠るにはとても良い場所だと思いました。
 
(アルタ・メサ記念公園:ホテルへの帰り道)
 
ホテルへの帰路、真っ赤に紅葉した木々や歩道に散った木の葉を見ると、まるで自分が秋の日本に居るような気持ちになりました。そうえば、ジョブズは日本の禅に傾倒していたそうですね。ふと2005年にスティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式に招待され「点と点を繋ぐ(Connecting The Dots)」あの有名なスピーチをしたことを思い出しました。スピーチの最後は「ハングリーたれ。愚かたれ(Stay hungry, Stay foolish)」で締め括られます。その意味については人それぞれの解釈があるようですが色々と考えさせられる言葉だと思います。わたしはジョブズ信仰者ではないですが、彼のスピーチやプロダクトに徹底的に拘る姿勢、その生き様からは凄まじい情熱を感じます。彼は当時特別なものだったコンピュータを我々にとって身近なもの(Macintosh、Pixar、iPhone)に変えてしまった大変革者なのです。アルタ・メサは、既に故人となった彼について思い出し、そして、彼が言ったこと、やったことについて考える機会になりました。
 
(シリコンバレーでのえげつない量の朝食)
 
散歩から戻りラスベガスへ出発する朝の集合時間になって、近所のレストランへ皆で朝食を食べに行きました。メニューを見てもよく分からないので、適当に朝食セット的なものと温かいコーヒーを注文したところ、とんでもない量の朝食が出てきました。皆、ヒーヒー言いながら食べましたが、一緒に行ったメンバーの中には食べきれず残す人も。隣の席の(地元の?)おばあちゃんが同じ量をペロッと食べ切ってる姿を見て皆で苦笑いしました。シリコンバレーお婆ちゃん、恐るべし。朝食の値段はチップ込で21米ドル(約2300円)。高いですよね(汗)。シリコンバレーは一見すると素朴で田舎っぽい雰囲気ですが、とても物価が高い(この後行くラスベガスはもっと高かったけど...)のです。
ともあれ、これでラスベガスへ向かう心と体の準備が整いました!
さあ、いざ飛行機でラスベガスへ!待ってろよAWS re:Invent 2019!
 

※本記事は当時の体験を記録したものであり、現在の状況とは異なる場合があります。